2025/03/01
移動ワイヤーロープ式除塵機は、移動して広範囲の除塵作業を行うことができるため、効率的な塵芥の撤去が可能です。本記事では、移動ワイヤーロープ式除塵機について、特徴や仕組みを動画や製品事例を用いて解説しています。株式会社ヤマウラが手掛ける除塵機についてどうぞご覧ください。
除塵機とは、塵や土砂などを取り除くために使用する機械のことです。
汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。塵やごみ、落ち葉などをかき集めて除去することができるため、河口に向かって流れがあるところや水力発電所、排水設備などに用いられ、塵やごみよって水流が止まるのを防ぐ役割があります。
汚水処理施設や排水設備以外にも、農業や工業用水、上水道や汚水処理施設など様々な場所で活躍しています。ただ長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法ことが重要になります。
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」の2種類に分けることができます。
レーキ形除塵機は、除塵機の回転部分にレーキ(熊手)と呼ばれるピンがついており、レーキが回転することでゴミを水面から掻き揚げます。このレーキ形除塵機には、レーキ回動式除塵機と、レーキ往復式除塵機の、大きく2種類あります。
レーキ式回転除塵機は、エンドレスチェーンと呼ばれるチェーンが組み込まれており、チェーンが回転を続けることで、永続的に大量のゴミを除去し続けることが可能です。
一方のレーキ式往復除塵機は、回転を続ける回転式と異なり、チェーンに複数のレーキを取付け、単一の大型のレーキを用いて除去します。レーキ幅が大きく、幅広い範囲をカバーできるため、大型ゴミの除去に対応できますが、レーキが1つなので持続的に大量のゴミが流れてくる箇所への設置には適していません。
ネット形除塵機は、除去したい対象物の大きさに合った網目のネットを回転させることでごみを捉える除塵機です。ネット形除塵機は回動式のみとなり、水路軸に平行なデュアルフロー式と、水路軸に直角なストレートフロー式の2種類があります。
>>レーキ形除塵機の「回動式」と「往復式」のメリット・デメリットとは?
レーキ形除塵機の定置式と移動式の2種の違いについて、詳しく解説します。
定置式:既存のバースクリーンを利用する場合や低水位においても除塵する場合に使用される除塵機を指します。
移動式:広範囲の取水口を移動し自動運転により除塵作業を行うことができる機械。定置式除塵機を台車に乗せて移動可能にしたものが移動式となる。
定置式とは、既存のバースクリーンを利用する場合や低水位においても除塵する場合に使用される除塵機です。
移動式とは、広範囲の取水口を移動し自動運転により除塵作業を行うことができる機械です。広範囲を1台の機械で除塵するため、経済性には優れていますが、移動に時間を要するため、定置式に比べ除塵能力は劣ります。
この移動式の除塵機では、一般的には往復式が採用されますが、下記のようにさらに細かく種類が分かれます。
ワイヤーロープ式:ワイヤーロープでレーキの昇降を行う。
チェーン式:チェーンを用いてレーキの昇降を行う。
ラック式:ラックを用いてレーキの昇降を行う。
下記の表で、除塵機の分類をまとめておりますので、ぜひご覧ください。
そして、移動ワイヤーロープ式除塵機は移動式のレーキ型の除塵機でワイヤーロープでを用いてレーキの昇降を行う仕組みとなっております。続いて、移動ワイヤーロープ式除塵機の特徴、仕組みを解説します。
移動ワイヤーロープ式除塵機とは、河川の水門や、水力発電の取水口などに設置され、横に移動しながら効率的に除塵作業を行うことができる除塵機です。
移動ワイヤーロープ式除塵機では、ワイヤーロープを使用してレーキを昇降させます。
これにより、深所のゴミや高所への掻き上げにも対応できます。
移動ワイヤーロープ式除塵機は、大きな流木や塵芥などの重いものを処理できる強靭な構造となっています。
また、タブレット端末などによる遠隔操作を可能とすることで、悪天候時や危険な場所での作業も安全に行えます。
レーキ降下
ワイヤーロープでレーキを水中に降ろし、ゴミを捕捉します。
ゴミ掻き上げ
水底のゴミをレーキで掻き上げ、水上のスクリーンまで運びます。
ゴミ搬出
スクリーンに集まった塵芥をコンベヤーなどで外部へ運び出します。
この一連の動作を移動しながら繰り返すことで、スクリーンにたまった塵芥を効率的に除去します。
当社が製造した移動ワイヤーロープ式除塵機が、実際に稼働している動画をご用意しましたので、ご覧ください。
続いて、実際に当社が製作した除塵機の製品事例をご紹介いたします。
こちらは、移動ワイヤーロープ式除塵機です。
移動ワイヤーロープ式除塵機は、水力発電所の取水口に設置する大型の移動式除塵機です。
こちらの除塵機は河川の本流に設置するため、1200kgf/1レーキもの大きな塵芥も処理できる強靭な構造となっています。
除塵機の操作は、タブレット端末による遠隔操作が可能なため、運転室まで階段を上り下りする必要がなく、また悪天候であっても遠隔から除塵機を管理することができます。
こちらは、移動ワイヤーロープ式除塵機です。移動ワイヤーロープ式除塵機は、水力発電所の取水口に設置する大型の移動式除塵機です。
豪雪地帯ということもあって、厚いコンクリート建屋に覆われており、資機材の搬入ではコンクリート壁の一部を壊して搬入致しました。又、現地までのアクセスに制約があり、1度現場に入ってしまうと1ヶ月程度下山できない過酷な状況下での施工でした。
>>詳しくはこちら
こちらは、移動ワイヤーロープ式除塵機です。移動ワイヤーロープ式除塵機は、水力発電所の取水口に設置する大型の移動式除塵機です。こちらの除塵機は河川の本流に設置するため、1000kgf/1レーキもの大きな塵芥も処理できる強靭な構造となっています。
除塵機の操作は、タブレット端末による遠隔操作が可能なため、運転室まで階段を上り下りする必要がなく、遠隔から除塵機を管理することができます。
除塵機で発生する主なトラブル4つをご紹介致します。
トラブル1 チェーン・ワイヤーの老朽化
除塵機には、レーキを回転させるためのチェーンが組み込まれていますが、長期的な利用によってチェーンがすり減ることがあります。
チェーンを長持ちさせるには、グリスを指す等のメンテナンスをしっかり行う必要があります。
トラブル2 チェーン・ワイヤーがゆるむ
除塵機のチェーンは、それ自体がすり減る以外にも、長期的な利用によって歯車から外れることがあり、それによって除塵機そのものが停止する危険性があります。
解決方法としては、ゆるみを解消するためのテークアップ(緊張装置)を定期的に張る必要があります。
トラブル3 モーターの焼き付き
除塵機を長年使用していると、何らかの理由で生じた過負荷、ベアリングの劣化によって、モーターが焼き付くことがあります。
それにより、除塵機からの異音発生、絶縁不良に繋がります。防止策として、動作回数測定などのモニタリングを行うことによる、予知保全が有効です。
トラブル4 コンベアがつまる
大雨や洪水などによる自然災害により、設計時では予期していなかったモノが流入すると、除塵機が詰まることがあります。
これを防止するためには、予期せぬゲリラ豪雨等も加味した設計を行う、点検を定期的に行う等の施策を行う必要があります。
また下記記事では、除塵機トラブルの対処法、除塵機のスマート保全について上階しておりますので、ぜひご覧ください。
インフラ技術ナビを運営しているヤマウラでは、除塵機の加工・製作にあたり以下の取り組みを実施しています。
各種除塵機の製作、対応可能!
長野県駒ケ根を拠点とする製缶加工メーカーのヤマウラでは、長年の製缶技術や豊富な実績を活かし、設計から現地据え付けまで一貫してお任せいただけます。
レーキ式、ネット式、ワイヤーロープ式、アーム式、定置式、移動式など各種製品に対応しております。
設計段階から対応可能!
当社ヤマウラは、豊富な提案実績をもつ設計エンジニアや有資格技術者が多数在籍しております。
設置する箇所の土木構造(水路径間、水路高)や設計条件(ゴミの量、種類、掻揚荷重、スクリーン勾配、設計水位差、流速、掻揚速度)をご提示いただけますと、性能はもちろんのこと、安全、コスト、デザイン、納期、自社製造の強みを生かし様々な要望にお応えすべく、色々なご提案させていただきます。
除塵機にお困りの方は、インフラ技術ナビ.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
★既存の除塵機のリプレイスやメンテナンスいたします!遠隔操作やリアルタイムでのモニタリング等のIoTによるスマート保全対応!
★設置場所や環境を考慮した、最適な除塵機の設計いたします!2m以下の小型除塵機から、総重量130t以上の東海エリア最大級の除塵機まで、幅広いサイズ対応!
★除塵機の設計・製造に関して、実際にお客様からいただいたご質問と、その回答を掲載中!
★除塵機に関してさらに興味のある方は、除塵機カタログをご覧ください。無料でダウンロードできます!
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。この除塵機の種類や構造によって、ごみを効率良く除去できるかどうかに影響がでます。そのためにも、製作工程と注意点を事前に知っておくことが必要です。
2021/10/20
除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。除塵機はダムや水力発電などインフラ設備でも利用されることが多いですが、経年劣化によりコンベアが詰まったり、稼働が止まってしまったりすることは少なくありません。
2021/12/07
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、搔き揚げるゴミによってはネット形を選定する必要があります。
2022/10/03
除塵機が主役となる除塵設備は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。この除塵設備について、構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。
2024/11/11
除塵機が主役となる除塵設備は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。この除塵設備について、構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。
2023/11/02
「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。