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工場の雨水排水対策とは?ゲリラ豪雨に備える「1mクラスの小型除塵機」の有効性

2026/01/15


近年、ゲリラ豪雨の激甚化に伴い、工場の雨水排水対策は喫緊の課題となっています。
しかし、既存の排水ピットや側溝の能力不足に悩みつつも、大規模な改修工事や高額な設備投資が壁となり、根本的な対策に踏み切れない現場も少なくありません。

本記事では、工場における雨水排水管理の重要性と現状の課題、従来の人力作業や既製品導入における限界、そして費用対効果に優れた「1mクラスの小型除塵機」の有効性について解説します。

さらに、インフラ技術ナビを運営するヤマウラだからこそ可能なオーダーメイド設計の強みから、実際に製作した除塵機の事例まで、詳しく解説いたします。

工場の雨水排水対策が重要視される背景

近年、製造業の現場において、雨水排水設備の維持管理に関する課題が顕在化しています。

多くの工場では、建設当時の気象条件を前提とした排水設計がなされていますが、昨今の急激な気象変動に対し、既存のインフラ設備が追いついていない現状があります。

ここでは、なぜ今、工場の雨水排水対策が改めて問われているのか、その背景と具体的なリスクについて解説します。

激甚化するゲリラ豪雨と工場内冠水のリスク

最も大きな要因は、短時間に記録的な雨量が観測される「ゲリラ豪雨」の増加です。
かつては「10年に一度」と言われた規模の豪雨が、近年では毎年のように発生しています。

多くの工場、特に稼働年数が長い施設においては、設計時の雨水処理能力(時間当たりの排水許容量)が現行の降雨強度に見合わなくなっているケースが散見されます。

想定を超える雨水が敷地内に流れ込み、工場内が冠水した場合、以下のような深刻な経営リスクに直結します。

  • 直接的な損害:製造ラインへの浸水による設備故障、原材料・製品の水濡れ被害
  • 操業リスク:ライン停止による納期遅延
  • 物流リスク:フォークリフトやトラックの運行不能によるサプライチェーンへの影響

したがって、過去の基準ではなく「現在の気象リスク」を見据えた排水対策の見直しが急務です。

排水ピットのゴミ詰まりが引き起こすトラブル

雨量そのものの問題に加え、排水設備における「ゴミ詰まり」も看過できない課題です。
雨水排水ピットや集水枡には、雨水と共に敷地内の落ち葉、土砂、梱包材の切れ端、ビニール片などの塵芥(じんかい)が流入します。

通常、ポンプ手前にはスクリーン(金網)が設置されていますが、ゲリラ豪雨時にはゴミが一気に押し寄せるため、短時間で閉塞してしまいます。これが原因で、以下のようなトラブルが発生します。

  1. ポンプ機能の停止:流入阻害や、異物吸い込みによるインペラの破損・ロック。
  2. 敷地外への越流:油分を含んだ雨水や汚泥のオーバーフロー。
  3. 法的リスク:水質汚濁防止法などの基準超過による行政指導や近隣被害。

CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンスの観点からも、確実な排水管理体制の構築が求められています。

排水ピット管理の課題と「オーバースペック」の壁

雨水排水に関するトラブルを未然に防ぐためには、排水ピットや集水枡の適切な維持管理が不可欠です。しかし、多くの現場において、その管理手法は依然として旧態依然とした人力作業に依存しており、運用面での限界を迎えています。

また、課題解決のために機械化・自動化を検討しても、費用対効果の観点から導入を断念せざるを得ないケースも少なくありません。

ここでは、現場担当者が直面する「清掃作業の負担」と「設備投資の壁」について詳述します。

人力による清掃作業の限界と危険性

排水ピットのゴミ除去は、施設管理部門にとって非常に負担の大きい業務です。平時であれば定期的な巡回清掃で対応できる場合もありますが、問題となるのはやはり豪雨時です。

豪雨時には、以下のような過酷かつ危険な作業を強いられます。

  • 肉体的な負担:激しい雨の中、カッパを着て溢れるゴミを回収し続ける作業。
  • 事故のリスク:足元が悪い中での転倒やピットへの転落。
  • ガス中毒の危険:ピット内作業における、汚泥(ヘドロ)由来の硫化水素ガス発生や酸欠事故。

いわゆる「3K(きつい、汚い、危険)」作業として敬遠される傾向にあり、人手不足も相まって、人力頼みの維持管理体制はもはや限界に達していると言えます。

なぜ、既製品の導入では費用対効果が合わないのか

人力作業の限界を感じ、多くの企業が検討するのが「除塵機」の導入による機械化です。

しかし、いざ見積もりを取ってみると、想定を遥かに超える導入コストに直面し、計画が頓挫してしまうことが多々あります。
その最大の要因は、市場に流通している除塵機の多くが、公共下水道や大規模プラント向けに設計された「ハイスペックな製品」である点にあります。

工場の雨水対策において、既製品導入が「オーバースペック」となる理由は以下の通りです。

  • 稼働頻度とコストの不均衡
    除塵機は、大量の汚水を24時間365日処理し続けることを前提とした重厚長大な仕様となっており、耐久性や処理能力は申し分ありません。
    しかし、工場の雨水対策という用途においては、稼働するのは「雨の日」に限られます。

    年に数回あるかないかのゲリラ豪雨への備えとして、常時稼働を前提とした高額な全自動除塵機を導入することは、投資対効果(ROI)の観点から正当化することが困難です。

  • 付帯工事費の高騰
    さらに、既製品の除塵機を導入しようとすると、往々にして「土木工事」が必要となります。
    既存の排水ピットや水路の形状がメーカーの規格サイズと合致しないため、コンクリートを斫(はつ)り、水路幅を拡張したり、ピット自体を作り直したりする大規模な改修工事が付帯します。

    その結果、機械本体の価格以上に工事費が膨れ上がり、トータルコストが跳ね上がってしまうのです。

費用対効果を高める「1mクラスの小型除塵機」という選択肢

前項で述べた「オーバースペック」の課題を解消し、現実的なコストで雨水対策を実現する手段として注目されているのが、「1mクラスの小型除塵機」の導入です。

大規模な下水処理施設向けの設備とは異なり、工場の敷地内排水に特化したこのコンパクトな設備は、多くの製造現場において最適な解となり得ます。

ここでは、なぜ小型機が選ばれるのか、その技術的な優位性と経済合理性について解説します。

工場の側溝や小規模ピットに最適なサイズ感

一般的な工場の雨水排水経路は、幅300mmから1000mm程度の側溝(U字溝)や、比較的小規模な集水枡で構成されています。ここに、下水処理場で使用されるような大型除塵機の導入はもちろんあり得ません。

対して、全幅・機長が1m前後、あるいは有効幅が1m未満の小型除塵機は、こうした工場特有の狭隘なスペースにも無理なく収まる設計となっています。

このサイズ感には、以下のようなメリットがあります。

  • 工事の最小化
    既存の水路を拡張せず、ボトルネック箇所へピンポイントに設置可能。
  • 搬入の容易さ
    大型重機が入れない狭い通路や配管エリアでも、人力や小型ユニックで搬入・据付が可能。
  • 工期の短縮
    大規模な土木工事が不要なため、操業への影響を低減できる。

機能を絞り込み、導入コストを適正化する

コストパフォーマンスを最大化するには、機能面の「選択と集中」も重要です。1mクラスの小型機であれば、現場の実情に合わせてスペックを最適化できます。

制御の簡素化
例えば、常時ゴミが流入するわけではない雨水排水ラインにおいては、水位計と連動して「増水時のみ稼働する」システムや、あるいは単純なタイマー制御を採用することで、制御盤やセンサー類を簡素化できます。

強度の適正化
ゴミの性状が落ち葉やビニール片などの軽量物主体であれば、過剰な強度は不要となり、モーターやフレームの設計をスリム化することが可能です。

このように、発生頻度とリスクの大きさを天秤にかけ、必要十分な機能に絞り込んだ小型機を選定することが、投資対効果を高める鍵となります。
過剰な安全率を見込んだカタログ製品を選ぶのではなく、現場の実情に即した「身の丈に合った機械化」こそが、予算制約のある工場保全の現場において最も合理的かつ持続可能な対策と言えます。

ヤマウラだからこそ可能な小型除塵機と雨水排水対策

インフラ技術ナビを運営するヤマウラは、エンジニアリング企業として、お客様の現場一つひとつの課題に真摯に向き合い、その環境に最も適した除塵設備を設計・製作しています。
画一的な仕様を当てはめるのではなく、現場の制約条件や運用ニーズを起点とした「オーダーメイドの排水対策」を提供できる点こそが、私たちの最大の強みです。

あらゆる制約条件に対応する柔軟な設計力

工場の排水ピットや水路は、現場ごとに幅、深さ、周囲の配管状況などが全く異なります。ヤマウラでは、こうした「制約」を技術力で解決します。

  • 極小スペース対応:駆動部をコンパクトに収めた専用設計。
  • 電源不要モデル:電源確保が難しい場所向けに、水流を動力源とする「無電源式」を採用。
  • 既存水路への適合:1m未満の水路幅にもぴったり収まるサイズ調整。

「ランニングコストを抑えたい」「メンテナンスの手間を減らしたい」といった、お客様ごとの細かなご要望を設計図に落とし込み、具現化します。
この徹底した現場主義の姿勢が、多くの製造現場で信頼をいただいている理由です。

現場調査から製作・据付・メンテナンスまでの一貫対応

特殊な環境への設置を成功させるためには、正確な現状把握が欠かせません。

当社では、構想段階から専門スタッフが現地に赴き、詳細な調査を行います。
水路の寸法計測はもちろん、ゴミの性状、水量の変動、搬入経路の確認に至るまで、あらゆる要素をプロの目で確認します。

その調査結果に基づき、自社工場にて高品質な除塵機を製作し、据付工事、試運転調整までをワンストップで対応します。
また、納入後の定期点検や、万が一のトラブル時の緊急対応など、メンテナンス体制も万全です。

機械を作るだけでなく、長期間にわたり安心してお使いいただける環境を提供する。それがヤマウラの雨水排水対策です。

>>除塵機とは?レーキって何?その仕組みと製作工程を徹底解説!

>>【コラム】除塵機でよくあるトラブル事例は?対処方法も解説!

>>除塵機とは?

除塵機に関する製品事例

続いて、実際に当社が製作した除塵機の製品事例をご紹介いたします。


レーキ前面降下前面掻揚式 小水力発電設備用除塵機

レーキ前面降下前面掻揚式 小水力発電設備用除塵機

現地組み立てを極力無くし、組み上がった装置を現地へそのまま設置できるため、工事期間は最小限に抑えることができました。

また、材質は全てステンレス製のため、錆等による修繕の必要がありません。

>>詳しい除塵機の事例はこちら!


跳ね上げ構造付き 前面降下前面掻揚式除塵機

跳ね上げ構造付き 前面降下前面掻揚式除塵機

前面にあるアームで除塵機のガイドフレームを持ち上げ、有水期でも水中部の部品交換やメンテナンスを可能としました。

エンドユーザー様の仕様に合ったカラーリングも特徴のひとつです。

>>詳しい除塵機の事例はこちら!


>>その他の除塵機の事例はこちら!

除塵機のことなら、ヤマウラまで!

除塵機にお困りの方は、インフラ技術ナビ.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!

★既存の除塵機のリプレイスやメンテナンスいたします!遠隔操作やリアルタイムでのモニタリング等のIoTによるスマート保全対応!

>>除塵機 リプレイス提案

★設置場所や環境を考慮した、最適な除塵機の設計いたします!2m以下の小型除塵機から、総重量130t以上の東海エリア最大級の除塵機まで、幅広いサイズ対応!

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>>除塵設備に関するよくある質問はこちら

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