水処理・電力・水害対策など、あらゆるインフラに関わるエンジニアの為の技術メディア

HOME インフラのプロに相談する ノウハウ資料無料ダウンロード

技術コラム / Column

技術コラム タグ一覧
事例カテゴリーから探す
分野から探す
タグ一覧
当社だからこそできること
インフラ技術ナビとは

除塵設備の耐用年数はどれくらい?

2024/11/11

除塵機が主役となる除塵設備は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。この除塵設備について、構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。

そこで本記事では、除塵設備の目的から構成要素、そして実際に当社で製作した除塵設備について、まとめてご紹介いたします。

除塵設備の目的とは?

除塵機とは、塵や土砂などを取り除くために使用する機械のことで、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。これを除去することによって、水流が止まるのを防ぐために除塵機設備は用いられます。

>>除塵機とは?レーキって何?その仕組みと製作工程を徹底解説!

ただ長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法ことが重要になります。

>>【コラム】除塵機でよくあるトラブル事例は?対処方法も解説!

除塵設備の5つの構成要素とは?

除塵設備を構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。

除塵設備

■ スクリーン

スクリーンとは、塵芥を補足する設備です。

■ 除塵機

除塵機とは、スクリーンで補足された塵芥を水中から直接分離・搔揚・搬送する設備全体のことです。除塵設備の心臓部と言えます。

>>除塵機とは?

■搬送設備

搬送設備は、掻き揚げられた塵芥を所定の位置まで搬送する設備です。コンベヤーが該当します。

>>搬送設備の事例:水力発電所向け 傾斜チェーンコンベア

■貯留設備

貯留設備は、搬送された塵芥を一時的に貯留する設備のことです。タンクや槽の設備になります。

■制御設備

そして忘れてはならないのが、制御設備です。除塵機や搬送設備は電動駆動になりますが、その操作や制御を行う設備です。機側操作盤が該当します。

>>制御・監視システムについてはこちら

除塵設備の耐用年数はどれくらい?

これらの要素で構成される除塵設備ですが、頻繁にご質問をいただくのが「耐用年数」についてです。

小水力発電に使用される除塵機の場合、水力発電所機械装置の法定耐用年数は22年となっているため、除塵機の一般的な耐用年数は22年です。

しかし実用上の耐用年数(寿命)は、運転条件(土砂摩耗等)にもよりますが、摩耗や劣化の補修、部品の交換など適切な保守管理を行えば50年以上の運転も可能です。つまり、除塵機の耐用年数は計画的な保全をすることで、2倍にも伸ばすことができるとも言えます。

下記は、農林水産省農村振興局整備部設計課が作成した「農業水利施設の機能保全の手引き」より独自に作成した、除塵設備の参考耐用年数と保全方式の一覧です。

設備区分装置機器・部材部品規格・材質(例)参考耐用年数保全方式備考
除塵設備スクリーンスクリーンスクリーンバーSUS40CBM
通しボルトナットSUS40CBM
ディスタンスピースSUS40CBM
受梁SUS40CBM
補助スクリーンSUS40CBM
除塵機レーキSUS40CBM
レーキチェーンSUS10CBM
エプロンエプロンSUS40CBM
軸カバーSUS40CBM
ガイドレールガイドSUS40CBM
レールSUS20CBM
フレームSUS40CBM
駆動軸S-C, SS25CBM
スプロケットFCD15CBM
軸受15CBM
駆動装置レーキ回動式電動機25CBM
減速機25CBM
継手流体継手25CBM
粉体継手10CBM
チェーン継手25CBM
ギヤ継手25CBM
チェーン15CBM
スプロケット15CBM
位置リミットスイッチ10TBM
過負荷検出装置20TBMサイクロ減速機に内蔵
油圧式油圧ユニット油圧ユニット本体25CBM
油圧ポンプ15PBM
電動機25CBM
バルブ(電磁弁等)15CBM
バルブ(リリーフ弁等)15CBM
バルブ(チェック弁等)15CBM
計器10PBM
フレキシブルホース10PBM
フィルターエレメント10PBM
アキュムレータ15PBM
油圧シリンダシリンダ本体30CBMロッドがステンレスの場合
シリンダパッキン10CBM
油圧配管20CBM普通鋼の場合
油圧作動油3PBM
潤滑油5PBM
搬出装置ベルトコンベヤフレーム25CBM
ベルト10CBM
駆動プーリ20CBM
従動プーリ25CBM
キャリアローラ10PBM
リターンローラ10PBM
非常引網スイッチ10TBM
貯留装置カットゲート式ホッパホッパ本体25CBM
ゲート25CBM
電動シリンダ15CBM
軸受20CBM
リミットスイッチ10TBM
その他設備付属設備階段40CBM
手すり40CBM
管理橋本体40CBM
床板40CBM
手摺40CBM
亜鉛メッキ40CBM
機側操作盤機側操作盤本体20(15)TBM屋内(屋外)
各機器計器類(電圧計、電流計等)10TBM
駆動器類(電磁接触器等)10TBM
各種リレー10TBM
各種スイッチ10TBM
表示灯10TBM
表示灯10PBM

▼ 制御盤や機側版・監視システム設計のことなら、下記サイトへ!事例も多数ご紹介! ▼

除塵機でよくあるトラブルとは?

これらの設備で構成される除塵設備ですが、どうしてもトラブルはつきものです。除塵設備でよくあるトラブルは、主に下記の通りです。

  1. チェーンが切れる
  2. チェーンがゆるむ
  3. モーターの焼き付き
  4. コンベアがつまる

>>除塵機に関するよくあるトラブルとは?対処方法まで解説!

除塵機における4つのスマート保全

上記のようなトラブルを解決するために、除塵機の定期的な点検や予知保全をする必要があります。特に除塵機では遠隔地からのスマート保全が重要となりますが、除塵機のスマート保全には、おもに下記の4つの方法があります。

  1. モーターの電流値のモニタリング
  2. 可動部分の異音検知
  3. 画像認識によるアラーム
  4. PLCの活用

>>IoTを活用した、除塵機「スマート保全」の進め方

除塵機に関する製品事例

続いて、実際に当社が製作した除塵機の製品事例をご紹介いたします。


前面降下前面掻揚式除塵機

前面降下前面掻揚式除塵機

総重量は130tを超え、東海エリア最大級のサイズを誇っています。
施工の際は、車輛での寄付きが困難な箇所であったため、河川へ台船を浮かべ曳航するという施工方法を採用いたしました。

>>詳しい事例詳細はこちら!


レーキ前面降下前面掻揚式 小水力発電設備用除塵機

レーキ前面降下前面掻揚式 小水力発電設備用除塵機

現地組み立てを極力無くし、組み上がった装置を現地へそのまま設置できるため、工事期間は最小限に抑えることができました。
また、材質は全てステンレス製のため、錆等による修繕の必要がありません。

>>詳しい除塵機の事例はこちら!


跳ね上げ構造付き 前面降下前面掻揚式除塵機

跳ね上げ構造付き 前面降下前面掻揚式除塵機

前面にあるアームで除塵機のガイドフレームを持ち上げ、有水期でも水中部の部品交換やメンテナンスを可能としました。 エンドユーザー様の仕様に合ったカラーリングも特徴のひとつです。

>>詳しい除塵機の事例はこちら!


固定式ロータリーチェーン式除塵機(前面降下前面掻揚式)

固定式ロータリーチェーン式除塵機(前面降下前面掻揚式)

水力発電所の水槽地点に設置されており、水車発電機へ流れ込むきれいな水の最終関門となります。水路の構造に合わせて2連の除塵機を設置致しました。納入実績も非常に多いスタンダードタイプといえます。

>>詳しい除塵機の事例はこちら!

>>その他の除塵機の事例はこちら!

除塵機のことなら、ヤマウラまで!

除塵機にお困りの方は、インフラ技術ナビ.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!

★既存の除塵機のリプレイスやメンテナンスいたします!遠隔操作やリアルタイムでのモニタリング等のIoTによるスマート保全対応!

>>除塵機 リプレイス提案

★設置場所や環境を考慮した、最適な除塵機の設計いたします!2m以下の小型除塵機から、総重量130t以上の東海エリア最大級の除塵機まで、幅広いサイズ対応!

>>除塵機 設計・製造

★除塵機の設計・製造に関して、実際にお客様からいただいたご質問と、その回答を掲載中!

>>除塵設備に関するよくある質問はこちら

★除塵機に関してさらに興味のある方は、除塵機カタログをご覧ください。無料でダウンロードできます!

>>除塵機製造ガイドブック

>>お問い合わせはこちら

関連した技術コラム

【コラム】除塵機とは?レーキって何?その仕組みと製作工程を徹底解説!

除塵機とは?仕組み・構造から種類まで徹底解説!

河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。この除塵機の種類や構造によって、ごみを効率良く除去できるかどうかに影響がでます。そのためにも、製作工程と注意点を事前に知っておくことが必要です。

2021/10/20

【コラム】除塵機でよくあるトラブル事例は?対処方も解説!

除塵機に関するよくあるトラブルとは?対処方法まで解説!

除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。

河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。除塵機はダムや水力発電などインフラ設備でも利用されることが多いですが、経年劣化によりコンベアが詰まったり、稼働が止まってしまったりすることは少なくありません。

2021/12/07

【コラム】IoTを活用した、除塵機「スマート保全」の進め方

IoTを活用した、除塵機「スマート保全」の進め方

除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。

しかし、保全業務を、故障や不具合発生後に行う「事後保全」に頼った状況だと、思わぬ故障やトラブルなどの影響を大きく受けてしまい、生産計画が大幅に狂うといった自体を招いてしまいます。

2021/12/07

移動ワイヤーロープ式除塵機(ネットワークカメラ付き)

レーキ形除塵機の「回動式」と「往復式」のメリット・デメリットとは?

除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、レーキ形除塵機には「回動式」と「往復式」の2種類の除塵機があります。

このレーキ形回動式除塵機と、レーキ形往復式除塵機では、それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や設置場所、メンテナンス性に合わせて、最適な除塵機を選定する必要があります。

2022/10/03

除塵機の「レーキ形」と「ネット形」の違いとは?

除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、搔き揚げるゴミによってはネット形を選定する必要があります。

2022/10/03

固定式ロータリーチェーン式除塵機(前面降下前面掻揚式)

除塵機の「前面降下」と「背面降下」の違いとは?

レーキが回転しながら塵芥を掻き揚げる「レーキ回動式除塵機」には、「背面降下前面搔揚式除塵機」と、「前面降下前面搔揚式除塵機」の2種類があります。しかしこの「背面降下」と「前面降下」のそれぞれの特徴や用途、メリットについては、ご依頼いただくお客様の多くはご存知ありません。

2022/09/07

技術コラム一覧に戻る

 関連リンク

「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。