2022/10/03
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、レーキ形除塵機には「回動式」と「往復式」の2種類の除塵機があります。
このレーキ形回動式除塵機と、レーキ形往復式除塵機では、それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や設置場所、メンテナンス性に合わせて、最適な除塵機を選定する必要があります。
そこで本記事では、レーキ形除塵機の特徴から、レーキ形回動式除塵機、レーキ形往復式除塵機、それぞれの特徴や用途、メリット・デメリットをわかりやすく解説いたします。また最後には、ヤマウラ エンジニアリング事業部が実際に設計・製造した除塵機の事例についてもご紹介いたします。
目次
・除塵機とは?
・除塵機のレーキ形とネット形の違いとは?
■ レーキ形除塵機
■ ネット形除塵機
・レーキ形除塵機の「回動式」と「往復式」のメリット・デメリットとは?
■ レーキ形回動式除塵機
■ レーキ形往復式除塵機
・除塵機に関する製品事例
・ヤマウラだから製作できる除塵機
・除塵機のことなら、ヤマウラまで!
除塵機とは、塵や土砂などを取り除くために使用する機械のことです。除塵機は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。
除塵機を使用することで、塵やごみ、落ち葉などをかき集めて除去することができるため、河口に向かって流れがあるところや水力発電所、排水設備などに用いられ、塵やごみよって水流が止まるのを防ぐことができます。
汚水処理施設や排水設備以外にも、農業や工業用水、上水道や汚水処理施設など様々な場所で活躍しています。
>>除塵機とは?レーキって何?その仕組みと製作工程を徹底解説!
ただ長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法ことが重要になります。
>>【コラム】除塵機でよくあるトラブル事例は?対処方法も解説!
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、搔き揚げるゴミによってはネット形を選定する必要があります。
レーキ式除塵機では、除塵機の回転部分にレーキ(熊手)と呼ばれるピンがついており、レーキが回転することでゴミを水面から掻き揚げます。
またレーキ形には、定置式と移動式の2種類あります。定置式とは、既存のバースクリーンを利用する場合や低水位においても除塵する場合に使用される除塵機です。移動式とは、広範囲の取水口を移動し自動運転により除塵作業を行うことができる機械です。広範囲を1台の機械で除塵するため、経済性には優れていますが、移動に時間を要するため、定置式に比べ除塵能力は劣ります。定置式除塵機を台車に乗せて移動可能にしたものが移動式となります。
ネット形除塵機は、除去したい対象物の大きさに合った網目のネットを回転させることでごみを捉える除塵機です。
また、スクリーンやネットの網目の粗さが細かい物から大型のものまであり、除去したい対象物に合わせて大きさを変えることで、捉えたごみを下流に取り逃がしてしまうことなく除去することができます。
ネット形除塵機は回動式のみとなりますが、水路軸に平行なデュアルフロー式と、水路軸に直角なストレートフロー式の2種類あります。またデュアルフロー式には、ネットスクリーンの内 ⇒ 外へ水が流れるイン・アウト式と、外 ⇒ 内へ水が流れるアウト・イン式の2種類あります。またネット形除塵機には、ネットスクリーンとフレームで構成されるセパレートネット式と、途切れのないネットスクリーンで構成されるエンドレスネット式の2種類に分かれます。
除塵機には、回動式と往復式の2つに分けることもできます。ただし往復式は、レーキ形のみで、ネット形はすべて回動式のみです。そのためここからは、レーキ形除塵機を前提とした上で、回動式と往復式のメリット・デメリットについて、それぞれ見ていきます。
レーキ形回動式除塵機は、エンドレスチェーンと呼ばれるチェーンが組み込まれており、チェーンが回転を続けることで、永続的に大量のゴミを除去し続けることが可能です。レーキ形回動式除塵機のメリットは、およそ下記の通りです。
①数多く納入されているスタンダードタイプ
②既設のバースクリーンを利用可能
③低水位においても除塵可能
レーキ形回動式除塵機は、当社でも数多く納入実績のある、スタンダードタイプと言えます。そのためコスト的にも納期的にもご満足いただけるケースが多くなります。また回動式の場合は、既設のバースクリーンを利用することができます。現在は除塵機のリプレイスに関するご相談が多くなっていますが、その際に回動式であれば比較的容易にリプレイスを行うことができます。さらに回動式であれば、10m以下の低水位であっても除塵することができます。
一方、レーキ形回動式除塵機のデメリットとしては、万が一水中部の部品取替が必要になってしまった際は、断水が必要となってしまいます。大きな工事や周囲への影響が大きくなってしまうのが、回動式除塵機の特徴でもあります。
さらにレーキ形回動式除塵機は「前面降下前面搔揚(かきあげ)式」と、「背面降下前面搔揚式」の2種類に分類されます。
レーキ形往復式除塵機は、回転を続ける回動式と異なり、チェーンに複数のレーキを取付け、単一の大型のレーキを用いて除去します。往復式除塵機のメリットは下記の通りです。
①掻き揚げ揚程が10mを超える場合は、往復式の中でもワイヤーロープ式が採用される
②無断水で機械の保守・メンテナンスが可能
レーキ形往復式除塵機は特に搔き揚げ揚程が10mを超えてくる場合に、特にワイヤーロープ式が採用されます。このように往復式除塵機は、比較的水位が深い大型の除塵機になることが多く、それに伴ってレーキ幅も大きさも大きくなるので、大きな塵芥の除去にも対応することができます。また往復式除塵機は回動式除塵機と異なり、断水をせずに機械の保守・メンテナンスを行うことができます。
一方で、往復式除塵機のデメリットとしては下記のような点が挙げられます。
①レーキアームが往復するため、除塵機上部にスペースが必要となる。
②油圧シリンダーを使用する際は、漏油の危険性がある。
往復式除塵機では、レーキアームが往復するため、どうしても除塵機の上部に相応のスペースを設ける必要があります。そのため設置場所に制限がかかってしまうのが、往復式除塵機のデメリットの1つです。また油圧シリンダを使用する際は、河川への漏油の危険性があります。
除塵機の比較表は下記の通りです。ぜひ参考にしてみてください。
当社では、油圧シリンダーを使用せずに、代わりに電動シリンダーや水圧シリンダーを使用しておりますので、漏油の心配はありません。
続いて、実際に当社が製作した除塵機の製品事例をご紹介いたします。
総重量は130tを超え、東海エリア最大級のサイズを誇っています。
施工の際は、車輛での寄付きが困難な箇所であったため、河川へ台船を浮かべ曳航するという施工方法を採用いたしました。
現地組み立てを極力無くし、組み上がった装置を現地へそのまま設置できるため、工事期間は最小限に抑えることができました。
また、材質は全てステンレス製のため、錆等による修繕の必要がありません。
前面にあるアームで除塵機のガイドフレームを持ち上げ、有水期でも水中部の部品交換やメンテナンスを可能としました。 エンドユーザー様の仕様に合ったカラーリングも特徴のひとつです。
水力発電所の水槽地点に設置されており、水車発電機へ流れ込むきれいな水の最終関門となります。水路の構造に合わせて2連の除塵機を設置致しました。納入実績も非常に多いスタンダードタイプといえます。
インフラ技術ナビを運営しているヤマウラでは、除塵機の加工・製作にあたり以下の取り組みを実施しています。
各種除塵機の製作、対応可能!
長野県駒ケ根を拠点とする製缶加工メーカーのヤマウラでは、長年の製缶技術や豊富な実績を活かし、設計から現地据え付けまで一貫してお任せいただけます。
レーキ式、ネット式、ワイヤーロープ式、アーム式、定置式、移動式など各種製品に対応しております。
設計段階から対応可能!
当社ヤマウラは、豊富な提案実績をもつ設計エンジニアや有資格技術者が多数在籍しております。
設置する箇所の土木構造(水路径間、水路高)や設計条件(ゴミの量、種類、掻揚荷重、スクリーン勾配、設計水位差、流速、掻揚速度)をご提示いただけますと、性能はもちろんのこと、安全、コスト、デザイン、納期、自社製造の強みを生かし様々な要望にお応えすべく、色々なご提案させていただきます。
除塵機にお困りの方は、インフラ技術ナビ.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
★既存の除塵機のリプレイスやメンテナンスいたします!遠隔操作やリアルタイムでのモニタリング等のIoTによるスマート保全対応!
★設置場所や環境を考慮した、最適な除塵機の設計いたします!2m以下の小型除塵機から、総重量130t以上の東海エリア最大級の除塵機まで、幅広いサイズ対応!
★除塵機の設計・製造に関して、実際にお客様からいただいたご質問と、その回答を掲載中!
★除塵機に関してさらに興味のある方は、除塵機カタログをご覧ください。無料でダウンロードできます!
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。この除塵機の種類や構造によって、ごみを効率良く除去できるかどうかに影響がでます。そのためにも、製作工程と注意点を事前に知っておくことが必要です。
2021/10/20
除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。除塵機はダムや水力発電などインフラ設備でも利用されることが多いですが、経年劣化によりコンベアが詰まったり、稼働が止まってしまったりすることは少なくありません。
2021/12/07
除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。
しかし、保全業務を、故障や不具合発生後に行う「事後保全」に頼った状況だと、思わぬ故障やトラブルなどの影響を大きく受けてしまい、生産計画が大幅に狂うといった自体を招いてしまいます。
2021/12/07
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、レーキ形除塵機には「回動式」と「往復式」の2種類の除塵機があります。
このレーキ形回動式除塵機と、レーキ形往復式除塵機では、それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や設置場所、メンテナンス性に合わせて、最適な除塵機を選定する必要があります。
2022/10/03
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、搔き揚げるゴミによってはネット形を選定する必要があります。
2022/10/03
レーキが回転しながら塵芥を掻き揚げる「レーキ回動式除塵機」には、「背面降下前面搔揚式除塵機」と、「前面降下前面搔揚式除塵機」の2種類があります。しかしこの「背面降下」と「前面降下」のそれぞれの特徴や用途、メリットについては、ご依頼いただくお客様の多くはご存知ありません。
2022/09/07
除塵機が主役となる除塵設備は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。この除塵設備について、構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。
2023/11/02
「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。