2022/09/07
レーキが回転することでゴミを水面から掻き揚げる「レーキ形除塵機」。そんなレーキが回転しながら塵芥を掻き揚げる「レーキ回動式除塵機」には、「背面降下前面搔揚式除塵機」と、「前面降下前面搔揚式除塵機」の2種類があります。
しかしこの「背面降下」と「前面降下」のそれぞれの特徴や用途、メリットについては、ご依頼いただくお客様の多くはご存知ありません。
そこで本記事では、レーキ形除塵機の特徴から、背面降下式除塵機と前面降下式除塵機、それぞれの特徴や用途、メリット・デメリットをわかりやすく解説いたします。また最後には、ヤマウラ エンジニアリング事業部が実際に設計・製造した除塵機の事例についてもご紹介いたします。
目次
・除塵機とは?
・レーキ形除塵機とは?
・除塵機の「前面降下」と「背面降下」の違いとは?
■ 背面降下前面搔揚式除塵機とは?
■ 前面降下前面搔揚式除塵機とは?
・除塵機に関する製品事例
・ヤマウラだから製作できる除塵機
・除塵機のことなら、ヤマウラまで!
除塵機とは、塵や土砂などを取り除くために使用する機械のことです。除塵機は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。
除塵機を使用することで、塵やごみ、落ち葉などをかき集めて除去することができるため、河口に向かって流れがあるところや水力発電所、排水設備などに用いられ、塵やごみよって水流が止まるのを防ぐことができます。
汚水処理施設や排水設備以外にも、農業や工業用水、上水道や汚水処理施設など様々な場所で活躍しています。
>>除塵機とは?レーキって何?その仕組みと製作工程を徹底解説!
ただ長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法ことが重要になります。
>>【コラム】除塵機でよくあるトラブル事例は?対処方法も解説!
レーキ形除塵機では、除塵機の回転部分にレーキ(熊手)と呼ばれるピンがついており、レーキが回転することでごみを水面からかき上げます。このレーキ形除塵機には、レーキ回動式除塵機と、レーキ往復式除塵機の、大きく2種類あります。
レーキ形回動式除塵機は、エンドレスチェーンと呼ばれるチェーンが組み込まれており、チェーンが回転を続けることで、永続的に大量のゴミを除去し続けることが可能です。
一方のレーキ形往復式除塵機は、回転を続ける回動式と異なり、チェーンに複数のレーキを取付け、単一の大型のレーキを用いて除去します。レーキ幅が大きく、幅広い範囲をカバーできるため、大型ゴミの除去に対応できますが、レーキが1つなので持続的に大量のゴミが流れてくる箇所への設置には適していません。
このように、同じレーキ形でも、使用する用途や除塵機を設置する場所などを考慮して選択する必要があります。
そのようなレーキ形除塵機において、回動式除塵機はさらに「前面降下前面搔揚(かきあげ)式」と、「背面降下前面搔揚式」の2種類に分類されます。
背面降下前面搔揚式除塵機は、スクリーンの下流側をレーキが降下し、最下部で反転後にスクリーンの開口部をくぐって、スクリーンの上流側に流着しているゴミをレーキが搔き揚げる形式の除塵機です。レーキがスクリーンの背面を降下して、スクリーンの前面を掻き揚げるので、背面降下前面搔揚式除塵機と呼ばれます。背面降下前面搔揚式除塵機は、ポンプ場や下水処理場に主に採用されています。
背面降下前面搔揚式除塵機の特徴は、補助スクリーンが必要な点です。上記のように、チェ水路の最底部で、レーキを反転させる必要があります。その分だけスクリーンを切除しなければいけません。しかしこのスクリーン切除部分からゴミが流れ出てしまうため、それを防止するために補助スクリーンを設ける必要があります。
背面降下前面搔揚式除塵機のメリットは、主に下記の通りです。
・ゴミを押し込むことがなく効率がよい
・小さなゴミを効率よく搔き揚げることができる
背面降下前面搔揚式除塵機は、レーキがスクリーンの背面から降下するため、ゴミを押し込むことがありません。そのため効率よく除塵することができます。また、髪の毛などの比較的小さなゴミであれば、効率よく掻き揚げることができます。
一方、背面降下前面搔揚式除塵機には、下記のようなデメリットもあります。
・一体式のため、設置するには全取り換えもしくは新規製造が必要
・レーキの爪代が短く、ゴミの大きさや量に小さく、除塵能力は低め
・綺麗にゴミを掻き揚げることができない
・製造可能なメーカーも限られてしまう
まず除塵機の構造的に、背面降下前面搔揚式除塵機の場合は一体型となってしまうため、設置する場合は既存のスクリーンを含めて全取り換えするか、もしくは新規での除塵機製造が必要になってしまいます。また、スクリーン下部を通過して前面に出る必要があるため、レーキの爪代も短めになります。そのため、ゴミの大きさが小さく、量は少なめになってしまうため、除塵能力はやや低めとなります。あわせて、補助スクリーンの存在もあり、綺麗にゴミを掻き揚げきれないという点がデメリットとしてあげられます。さらに背面降下前面搔揚式除塵機については、製造可能なメーカーも限られてしまうのもデメリットとして捉えることができます。
除塵機の比較表は下記の通りです。ぜひ参考にしてみてください。
背面降下前面搔揚式除塵機は、当サイトを運営するヤマウラでも製造実績はございます。しかし上記のようなデメリットのうち、綺麗にゴミが搔き揚げることが出来ない点と、レーキ – 補助スクリーン間で生じやすいトラブルを考慮した上で、背面降下前面搔揚式除塵機を選択する必要があります。
前面降下前面搔揚式除塵機は、レーキがスクリーン面からやや離れた上流側を降下し、最下部で反転した後にスクリーンに沿って上昇し、スクリーンの上流側に流着しているゴミを掻き揚げる除塵機です。前面降下前面搔揚式除塵機は、主に電力会社様が採用されています。
前面降下前面搔揚式除塵機の特徴は、既存のスクリーンに対して後付けで設置することができます。またレーキがスクリーンの下をくぐることもないため、レーキ幅を大きくすることができます。そのため、流木などの比較的大きなサイズのゴミでも掻き揚げることができます。またレーキ幅が大きい分、たくさんのゴミを一気に搔き揚げることができます。さらにゴミの量やサイズが大きくとも除塵することができるため、多少の重量があるゴミであっても搔き揚げることができます。
除塵効率としては背面降下前面搔揚式除塵機に軍配が上がりますが、除塵能力と精度の観点から、ヤマウラでは前面降下前面搔揚式除塵機について積極的にご提案しており、数多くの製造実績がございます。
もちろん、背面降下前面搔揚式除塵機の製造にも対応しておりますので、お客様のご要望に応じた各種除塵機の製造に対応いたします。
続いて、実際に当社が製作した除塵機の製品事例をご紹介いたします。
総重量は130tを超え、東海エリア最大級のサイズを誇っています。
施工の際は、車輛での寄付きが困難な箇所であったため、河川へ台船を浮かべ曳航するという施工方法を採用いたしました。
現地組み立てを極力無くし、組み上がった装置を現地へそのまま設置できるため、工事期間は最小限に抑えることができました。
また、材質は全てステンレス製のため、錆等による修繕の必要がありません。
前面にあるアームで除塵機のガイドフレームを持ち上げ、有水期でも水中部の部品交換やメンテナンスを可能としました。 エンドユーザー様の仕様に合ったカラーリングも特徴のひとつです。
水力発電所の水槽地点に設置されており、水車発電機へ流れ込むきれいな水の最終関門となります。水路の構造に合わせて2連の除塵機を設置致しました。納入実績も非常に多いスタンダードタイプといえます。
インフラ技術ナビを運営しているヤマウラでは、除塵機の加工・製作にあたり以下の取り組みを実施しています。
各種除塵機の製作、対応可能!
長野県駒ケ根を拠点とする製缶加工メーカーのヤマウラでは、長年の製缶技術や豊富な実績を活かし、設計から現地据え付けまで一貫してお任せいただけます。
レーキ式、ネット式、ワイヤーロープ式、アーム式、定置式、移動式など各種製品に対応しております。
設計段階から対応可能!
当社ヤマウラは、豊富な提案実績をもつ設計エンジニアや有資格技術者が多数在籍しております。
設置する箇所の土木構造(水路径間、水路高)や設計条件(ゴミの量、種類、掻揚荷重、スクリーン勾配、設計水位差、流速、掻揚速度)をご提示いただけますと、性能はもちろんのこと、安全、コスト、デザイン、納期、自社製造の強みを生かし様々な要望にお応えすべく、色々なご提案させていただきます。
除塵機にお困りの方は、インフラ技術ナビ.comを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
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★既存の除塵機のリプレイスやメンテナンスいたします!遠隔操作やリアルタイムでのモニタリング等のIoTによるスマート保全対応!
★設置場所や環境を考慮した、最適な除塵機の設計いたします!2m以下の小型除塵機から、総重量130t以上の東海エリア最大級の除塵機まで、幅広いサイズ対応!
★除塵機の設計・製造に関して、実際にお客様からいただいたご質問と、その回答を掲載中!
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。この除塵機の種類や構造によって、ごみを効率良く除去できるかどうかに影響がでます。そのためにも、製作工程と注意点を事前に知っておくことが必要です。
2021/10/20
除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。
河川などの塵やゴミを取り除くために利用される除塵機。除塵機はダムや水力発電などインフラ設備でも利用されることが多いですが、経年劣化によりコンベアが詰まったり、稼働が止まってしまったりすることは少なくありません。
2021/12/07
除塵機を長年使用すると、チェーンのゆるみやパーツの故障により、除塵機の稼働が止まってしまうことがあります。このようなトラブルを未然に防ぐ方法の一つに、機械や設備などの保全業務があります。
しかし、保全業務を、故障や不具合発生後に行う「事後保全」に頼った状況だと、思わぬ故障やトラブルなどの影響を大きく受けてしまい、生産計画が大幅に狂うといった自体を招いてしまいます。
2021/12/07
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、レーキ形除塵機には「回動式」と「往復式」の2種類の除塵機があります。
このレーキ形回動式除塵機と、レーキ形往復式除塵機では、それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や設置場所、メンテナンス性に合わせて、最適な除塵機を選定する必要があります。
2022/10/03
除塵機には様々な種類がありますが、掻き揚げる方式で「レーキ形」と「ネット形」で2分されます。基本的にはレーキ形除塵機が選定されますが、搔き揚げるゴミによってはネット形を選定する必要があります。
2022/10/03
レーキが回転しながら塵芥を掻き揚げる「レーキ回動式除塵機」には、「背面降下前面搔揚式除塵機」と、「前面降下前面搔揚式除塵機」の2種類があります。しかしこの「背面降下」と「前面降下」のそれぞれの特徴や用途、メリットについては、ご依頼いただくお客様の多くはご存知ありません。
2022/09/07
除塵機が主役となる除塵設備は、汚水処理施設や排水設備、中継ポンプ場において、流入する夾雑物を除去するために使われます。この除塵設備について、構成する要素は大きく分けて、「スクリーン、除塵機、搬送設備、貯留設備、制御設備」の5つに分類されます。
2023/11/02
「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。