2021/10/25
水圧鉄管とは、水力発電に使用される設備で、水槽またはダムから水車に水を送るための管のことです。
水圧鉄管の適切な材質、直径、長さなどは、開発場所の状況によって異なります。そのため、水圧鉄管を設計する上で、現地調査は非常に重要です。
本記事では、水圧鉄管の基礎から設計に関わる現地調査のポイントまで解説いたします。
目次
水圧鉄管とは、水力発電に使用される設備で、水槽またはダムから水車に水を送るための管のことです。
落差のあるところから水を落とし、その位置エネルギーを利用することで発電を行います。したがって、鉄管内部には強い圧力働くため、高い強度の鉄管を製作する必要があります。
水圧鉄管に使用される材質は、ポリエチレン、STPY、ステンレス(SUS304)、SM400A、SM400B、SM490A、SM490Bがあります。
これらの材質のうちどれが適切な材質なのかは、溶接の効率、水圧に対する強度、費用などによって異なります。
水圧鉄管は、筒状のパイプが何本も繋がっている構造で、パイプ同士をフランジ接合することで一本のパイプとなっています。
フランジ接合とは、円筒部分をパイプと接合し、円盤部分同士をボルトなどで締結することで、パイプ同士を繋ぎ合わせる接合方法のことです。フランジ接合により、高い水圧にも耐えうる強度の高い水圧鉄管を製作することができます。
また、水圧鉄管は、下部に設置するパイプほど圧力に耐えれるよう厚みがあるように設計されています。
ヤマウラが所有する駒ヶ根高原水力発電所(小水力発電所)の水圧鉄管は、Φ350、管路延長は800mあります。
水圧鉄管の設計を行う上で現地調査は重要です。
ここでは、水圧鉄管の設計に伴う現地調査をする上でのポイント3つについて説明いたします。
水量
水圧鉄管の設計を行う際は河川の水量を考慮する必要があります。
小水力発電の開発ができる河川や農業用水路などは、灌漑期、非灌漑期で水量が異なるため、それぞれの時期で現地調査を行い、最適な水圧鉄管の設計を行う必要があります。
水圧鉄管の設計を行う際は水が流れ落ちる落差を考慮する必要があります。
落差によって水が落ちる勢いが変わるため、水圧鉄管にかかる水圧が異なります。落差に応じてより発電効率の良い水圧鉄管の設計を行う必要があります。
水圧鉄管の設計を行う際は水路のルートを考慮する必要があります。
水路のルートによっては、水路が長くコストがかかってしまったり、発電効率が悪くなったりすることがあります。
また水路のルートが複雑な場合は水圧鉄管の材質をポリエチレンにするといった工夫が必要です。
ポリエチレンは溶着などの施工性が良く、水路に合わせた加工を比較的容易に行うことができるため、工期が短くなり、トータルコストを抑えることができます。
続いて、実際に当社が製作した水圧鉄管の製品事例をご紹介いたします。
こちらの水圧鉄管はダムを利用した小水力発電に使用されました。
狭隘な箇所にあるダムだったため、資機材の搬入は索道を利用して行いました。
また急傾斜箇所での溶接作業は、当社熟練溶接工が行うことで、高品質な水圧鉄管を納めることができました。
こちらは、小水力発電所用取水口設備他です。一括発注にて小水力発電所用の金物設備(水圧鉄管・ゲート設備・スクリーン)を納入させていただきました。
狭隘な施工現場でありましたが、経験豊富なスタッフが卓越した技術で同調作業ともスムーズに無事に納入することが出来ました。既存のダムに孔を明け、河川維持流量を利用した発電所であり、維持流量を利用した発電所では出力が最大規模となります。
こちらは、露出式鋼板製水圧鉄管です。SM400の板材をロール加工し、内径Φ700~Φ1000mmの鋼管を製作いたしました。搬入据付においては、急傾斜地からの吊り込みが必要であったため、あらかじめ吊環を鉄管に取り付け、落下防止に努めました。
こちらは水力発電用の水圧鉄管です。この水圧鉄管は末端管のため、長さ自体は19mと短くなっていますが、圧力が高い場所で使われる水圧鉄管のため板厚(管厚)は16mmの鋼板で構成されています。
インフラ技術ナビを運営しているヤマウラでは、一般的な水力発電や小水力発電に使用される水圧鉄管の設計・製作を行っています。
また、水圧鉄管の設計・製作だけでなく、小水力発電所の計画・設計~運転・メンテナンスまで一貫して行っています。
これまで、ヤマウラでは、農業用水路、一般河川、ダム維持放流、既設発電所の放流水といいった様々な場所での小水力発電の開発実績があります。
水圧鉄管、小水力発電にお困りの方は、インフラ技術ナビを運営するヤマウラエンジニアリング事業部までお問い合わせください!
「高品質」「顧客満足度の向上」をモットーとして、さまざまなサービスを展開しています。